Q:住宅ローンが残っている家を売却するにはどうすればよいですか?

 

諸事情で引っ越すことになり、もう今の家は不要になったので売却したいです。

しかし、まだ住宅ローンを返済中なのですが、ローンが残っている家を売却するにはどうすればよいのでしょうか。

 

売却して一括で残債を返済できるかがポイント

まず最初に確認するべきことは、自宅を売却して残っている住宅ローンを一括して返済できるかどうかです。

一括で返済できるかどうかで、今後の手続きや売却するかどうかの判断が大きく変わってきます。

そのため、まずは住宅ローンの残高を確認することと、不動産会社に物件の査定をしてもらう必要があります。

なお、ローンの残高は銀行と契約した時の「償還表」を見ればわかります。(ただし途中で滞納やリスケジュールをしていた場合は償還表の残高とズレが生じます)

もし償還表が手元になければ、銀行に問い合わせて所定の手続きをすれば残高を教えてくれます。

 

一括返済できる場合

不動産会社に査定をしてもらい物件の評価額と残高を比較して、評価額のほうが高ければ大きな問題はありません。

その価格で自宅を売り出してみましょう。

【注意:不動産会社の査定は当てにならない】
ほとんどの場合、不動産会社の査定は最初は強気な価格評価をしてくるので(そうでないと不動産会社も仕事をもらえないので)、その金額で売れないということも珍しくありません。査定額はあまり当てにせず、なかなか売れない場合は、価格を下げたり他の不動産会社にも相談してみましょう。

予定通りローンの残高以上の金額で買い手がつけば、売買契約を締結したうえで物件の引渡日(=返済日)を決定し、銀行で住宅ローンの解約手続きをします。

注意点として、銀行に解約を申し込んでから実際に返済して解約するのに1~3週間(銀行によって異なるので事前に確認が必要です)かかります。

なお、ローンの残高は利息の影響で1日単位で変わるため、買主に代金を支払ってもらう引渡日を前もって確定させる必要があり、それを確定したうえで1~3週間前までに銀行に解約申込をしなければなりません。

 

一括返済できない場合

住宅ローンの残高よりも物件の査定額が低い場合、基本的にはその差額を自己資金で穴埋めしなければなりません。

差額が大きかったり、自己資金を準備できないなどの事情で、一括返済が難しい場合は原則として売却することができず、そのまま払い続けるしかありません。

しかし、それ以上返済を続けることが困難な場合やどうしても手放したい場合は、任意売却という方法を使うことで住宅ローンを一括返済できなくても売却することが可能です。

【物件の評価額とローンの残債の関係】
全国的に見て、物件の評価額が住宅ローンの残高より高く、売却代金だけでローンを一括できるケースは少数派です。むしろ、過半数の世帯が「評価額<ローン残高」のいわゆるオーバーローンの状態です。特に、返済期間30年以上で頭金なしのフルローンを組んでいる方は、ほとんどのケースでオーバーローンです。

オーバーローンではないケースとしては、「購入時に10~20%以上の頭金を入れている」「購入後に近隣の土地相場が大幅に上昇した」「ローンを20年以下の短い返済期間で設定した」「ローンの返済期間が残り10年以下」という場合に限られます。

購入した物件やローンの組み方にもよりますが、ほとんどのケースではローン元金の減るスピードよりも物件の資産価値が下がるスピードのほうが速いのです。

 

住宅ローンを残したまま売却する「任意売却」とは?

任意売却とは、住宅ローンを借りている金融機関と交渉して承諾を得たうえで、残債が残ったとしても売却を許可してもらう方法です。

この任意売却の手続きを行うことにより、仮に一括返済できない状態であっても自宅を売却することができます。

なお、売却代金で返済できずに残ってしまった残債は、金融機関と相談のうえ分割返済していくのが一般的です。(「任意売却とは?」詳しくはこちら>>)

ただし、後述のように任意売却には大きなデメリットやリスクがあります。
任意売却してまで自宅を手放すかのか、あるいは売却せず返済を続けていくのか、冷静に判断するようにしましょう。

【任意売却するには住宅ローンの「滞納」が必要】
まだ住宅ローンが滞っていない段階で銀行に任意売却を申し出ても、基本的に銀行は認めてくれません。当然ながら、銀行の立場から見れば最後まで当初の条件通りに返済してもらうことが理想だからです。

銀行に任意売却を認めてもらうためには、ローン返済の「滞納」の事実が必要です。平たく言えば、ご自身のローンを不良債権にすることで銀行にこれまで通りの返済を諦めてもらわないといけないわけです。

正確に言うと、期限の利益を喪失しない限り任意売却することはできません。期限の利益の喪失とは、一定期間(通常6ヶ月)滞納をすることで、住宅ローン契約が解除されローン残高の一括返済を求められることです。(「期限の利益喪失とは?」詳しくはこちら>>)

 

任意売却をするかどうかの判断基準

自宅を売却しても一括返済ができない場合、任意売却して残債を残すかたちで売却するか、そのまま保有し続けて住宅ローンを返済していくかの選択になります。

どちらにも相応のリスクとデメリットがありますので、十分に把握したうえで冷静な判断を心がけましょう。

 

任意売却のデメリットとリスク

滞納期間中に銀行からの督促が来る

前述の通り、任意売却を銀行に認めてもらうためには、ローンの返済を滞納して期限の利益を喪失させる必要があります。

そのため、当然ながらその滞納期間中は継続的に銀行からの督促の電話や手紙が届くことになります。

対策としては、債務整理を前提に弁護士などに依頼して代理人になってもらうことで、督促をストップすることも可能です。

 

信用情報に傷が入る(ブラック)

繰り返しになりますが、任意売却をするためにはローンを滞納する必要があります。

借りたお金を返済せずに滞納するかたちになるため、どうしても信用情報に傷が入ってしまいます。いわゆるブラックと呼ばれる状態です。

信用情報に傷が入ると、一定期間は新規にローンを組んだりクレジットカードを作ることができなくなります。

 

任意売却できなかった場合、自宅が競売になる

もし、任意売却で自宅が売れなかった場合、最終的には自宅が競売にかけられてしまいます。

競売になってしまうと、通常の相場よりも安い価格で自宅が落札されてしまったり、インターネットなどに掲載されて競売になったことが知られてしまうなどのリスクがあります。

なお、期限の利益を喪失した段階で「任意売却ができなかったので、やっぱり普通に住宅ローンを払っていきます」というような後戻りはできません。

 

連帯保証人に迷惑がかかる

連帯保証人がいる場合は、住宅ローンを滞納している間は連帯保証人にも銀行から督促を受けることになります。

また、任意売却後に残った債務の返済義務は連帯保証人にも残ります。

 

遅延損害金がかかる

住宅ローンを滞納して期限の利益を喪失すると遅延損害金が加算されてしまいます。

大抵の場合、この遅延損害金は15%近い高額な利率が設定されていますので、滞納前のローンの残高よりも相当債務が増えてしまいます。

 

保有し続けるデメリットとリスク

上記の通り、任意売却には多くのデメリットがありますが、一方で保有し続けることも大きなリスクがあります。

 

住宅ローンの返済を続けなければならない

何といっても、保有し続ける限り住宅ローンの返済を続けなければならないということです。

今の時点で返済が苦しい状況の方や、もうその家に住む予定がないという方が、今後何十年もローンを払い続けなければならないというのは相当な負担のはずです。

 

自宅の資産価値が下がり続ける

今売却しても完済できなからといって任意売却しなかったとしても、基本的に保有を続ければその間に資産価値は下がり続けます。

土地は大幅に値下がりしなかったとしても、建物の価値は日に日に下がり続け、最終的にはマイナスになります。

なぜ0ではなくマイナスになるかというと、古くなって使えなくなった建物は解体費がかかるため、資産価値は0を通り越して実質マイナスとなります。

 

【賃貸として貸すという選択肢はリスクの先延ばしすぎない】
もう使わない家の住宅ローンを払っていくために賃貸として貸すという選択肢もあります。しかしこれにも大きなリスクがあります。

1つ目は、借り手がつく保証がないという点です。借り手がつかなくてもローンの返済は続きます。また、一度借り手が見つかっても、その借り手が出ていってしまえば、次の借り手が見つかるまで家賃収入はゼロでローンの返済だけが残ります。

2つ目は、貸している間に資産価値が下がり続けるという点です。当然ながら建物は築年数が経てば資産価値が落ちますので、賃貸物件として保有を続けても将来的に取れる賃料は下がっていきます。また、将来売ろうと思っても、その時に売れる金額も下がっていることになります。

そのため、主要駅に近いマンションなど賃貸物件としての需要が高い物件を除けば、賃貸として貸すことも「保有し続けるリスク」を先延ばしているに過ぎないのです。

 

まとめ

住宅ローンが残っている家の売却を考えている場合、まずは現在の残債と自宅の評価額を確認することです。

そして、売却しても一括返済が難しいようであれば、売却を辞めるか任意売却するかの選択をすることになります。

これまで述べてきた通り、いずれにしてもリスクやデメリットがありますが、基本的には下記のような方は無理してまで任意売却をするべきではないでしょう。

・預金などの資産がまだ十分にあり、生活や返済に困っていない

・別世帯の連帯保証人がいる

 

逆に次のような方は、早めに任意売却を検討したほうが良いかもしれません。

・すでに返済が滞っている、あるいは近いうちに払えなくなる

・住宅ローンを返済していると家計がマイナスで貯金を切り崩している

・信用情報に傷が入っても構わない

 

どのような選択をするにしても、住宅ローンの問題は一生の生活を左右する危険のある大きな問題ですので、長期的な視点で冷静に判断することが大切です。

 

 

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