住宅ローンが残っている家を売却したい!方法と条件を宅建士が解説

「住宅ローンが残ったマイホームを売却したい!」

例えばあなたが家を売却したいと思ったときに、どんな状態でもすぐに家は売れるのでしょうか。

結論からお伝えすると、「抵当権」を外すことができれば家を売却することができます。

通常、家を売却する時は、住宅ローンを完済していて「抵当権」が解除された状態であるか、住宅ローン残高を上回る金額で売却した代金で一括返済をして「抵当権」を外してもらうことで成立します。

 

しかし残念ながら、家を売却した代金だけでは住宅ローン残高を下回ることも多く、完済することができないと基本的には売却することができません。

では、マイホームを手放す選択をしたとき、住宅ローンが残っている状態で売るためにはどうしたらよいのでしょうか。

その方法や対策は、マイホームを売却したい理由よっても変わってきます。

・新しいマイホームが欲しい
・急な転勤で不要になった
・子供の独立後、もう少し狭い部屋に越したい
・他資金用途が出来てしまった
・住宅ローンの支払いが厳しい
・結婚や離婚で当初の家計状況が変わってしまった

あなたがこのような事態になって売却が必要な時、住宅ローンが残っている家の売却について詳しく解説していきます。

 

住宅ローンが残っている家を売却するには原則として完済が必須

冒頭でお伝えしましたように、住宅ローンが残っている状態でも家を売ることはできます。
ただし、この場合は条件があり、一括返済をすることによって「抵当権」をはずさなくてはいけません。

 

ローンが残っている場合は一括返済が必須です

売却の為には一括返済が必須となりますが、一括返済するためには【住宅ローン残高<売却価格】という状態であることが必要です。

 

しかし、実際に不動産査定に出してみると、思っているより価値が低く、売却価格のほうが住宅ローンの残高を下回っていることが多いのです。

なぜなら、一般的に住宅ローンの残債が減るスピードよりも、建物の価値が落ちるスピードの方が早いからです。

住宅ローンで購入した建物の価値は経年により大きく減少し、家の価値は新築から10年ほどで大きく下がってしまいます。多くの不動産が築10年経つと、建物価値は半分近くまで下がるといわれています。

このようにな「物件の市場価値<住宅ローンの残高」の状態はオーバーローンと呼ばれ、オーバーローン状態で一括返済できないと、通常の売却方法で売ることはできません。

 

一括返済が出来ないと抵当権が解除されない

前述の通り、一括返済が出来ないと抵当権が解除されません。

では「抵当権とは?」という疑問にお答えします。

家を住宅ローンで購入した場合に、その家に銀行側が「抵当権」を設定しています。
家を担保にお金を貸していますよ、ということを意味して設定するのが「抵当権」です。

万が一、住宅ローンの返済が滞ったときに、銀行はこの抵当権を行使して担保となっている家を強制的に売却(競売)して貸した資金の回収を図るわけです。

通常の不動産売却は、既に住宅ローンが完済されている状態か、若しくは住宅ローンの残高を上回る金額で売却することで、銀行側がこの「抵当権」をはずしてくれるのです。

逆に、銀行は貸した資金の全額を回収するまでは、基本的にこの抵当権を解除してくれることはありません。

 

抵当権がある家は売れない

ではこの抵当権がついたままでは家は売れないのでしょうか?
答えは、「売ることができない」です。なぜなら「抵当権」がある家は誰も買いたいと思わないからです。

法律上では抵当権がついていても売却することは可能です。

しかし、売却自体が可能でも、抵当権がついたまま不動産を引き渡した場合に、万が一、もとの債務者の返済が滞ってしまうと、抵当権を設定した銀行側が競売という形でその担保としている家を強制売却し、債権を回収することになります。

つまりその場合、新しい買い手は勝手に家を売られてしまい所有権を失う恐れがあるので、そのようなリスクのある家を買ってくれる人はいないのです。

そのため、通常の取引においては、売主が抵当権を抹消し担保権をきれいにして物件を引き渡すことが大前提になります。

 

残ったローンの分割払い・借り換えは認められない

どうしても【売却価格<住宅ローン残高】となってしまったとしても、

・売った後に残ったローンを分割払いする

・他の住宅ローンに借り換える

ということは原則認められません。

銀行の立場から見れば、わざわざ担保付きの融資を無担保に切り替えるのはリスクが上がるだけでメリットがないためです。

唯一、後述する任意売却を行った後の残債は分割払いに応じてもらえますが、通常売却は「一括返済が可能であること」が条件となります。

 

売却代金は住宅ローン返済が優先となる

また、売った代金の一部を他の用途に使いたい、そのようなことは可能であるのかですが、売却代金は住宅ローンの返済が優先となるため、先に他の用途に資金を使用することはできません。

住宅ローンが残っている状態では優先権はあくまでも銀行側です。

売却代金で住宅ローンを完済して、そのうえで残った資金のみ他の用途として使えるのです。

 

住宅ローンが残っている家を売るためにすべきこと

ここからは、住宅ローンが残った家を売るためにすべきことをお伝えします。

 

現在の住宅ローン残高の把握と売却相場を知る

第一にすべきことは、現時点の住宅ローンの残高確認です

残高照会はお借り入れの銀行に問い合わせれば確認することができるため、照会を行った上で、マイホームの売却相場を知りましょう。

次に行うべきは、自宅がいくらくらいで売れそうかの相場を把握することです

売却相場は、不動産サイトの一括査定などで行うこともできますが、ネットでの不動産査定は自社で依頼を引き受けたいがために相場より高値で査定を出してくる可能性もあります。

実際には、市場に出して、買い手があっての話となるため、近隣の物件の売り出し価格や過去の実績をもとに査定してくれる会社に出してもらうことが大事です。

 

一括返済が可能ならばすぐに販売開始をする

不動産査定の結果、【住宅ローン残高<売却価格】となればすぐに販売を開始してみましょう。
まずは想定の価格にて売却に出してみて、問い合わせがあれば適正価格であるということになります。

残念ながら問い合わせがほとんどない場合は、価格を下げなくてはいけないため、このまま一括返済が可能となるのか判断が必要です。

 

一括返済が不可能ならば、資金を工面する

次に、市場に出してみたものの、想定価格で売れないず【住宅ローン残高>売却価格】となってしまう場合は、住宅ローンの差額分を工面しなくてはいけません。

方法としては2通りあります。

 

方法①:差額を自己資金で補う

1つ目の方法は、住宅ローンの残債を自己資金で補う方法です。
または、両親や兄弟から借りて返済に充てるということです。

一括返済が不可能な場合はまず、こちらの方法を検討しましょう。

現時点での残債額が1700万円で、家の売却価格が1500万円となってしまう場合、差額の200万円と諸費用を併せた足りない金額を用意することで売却が可能になります。

この方法であれば、信用情報に傷が入ることもありません。

ちなみに、売却損がでたということで税金が控除される特例もありますので、要件が揃えばそちらも上手に取り入れましょう。

【税金控除の特例】
・マイホーム借り換え時は、

「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」

・オーバーローンの場合は、

「居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」

 

方法②:新しい自宅購入目的ならば住み替えローンを組む

2つ目の方法は、現在お住いのご自宅を売ると同時に新しく物件を購入する場合の方法です。
この方法は、オーバーローン分を新居のローンに上乗せして借り入れをします。

 

ただし、通常より金利が高いことや、売却した物件の残債を上乗せしている分、毎月の返済額は多くなるため住宅ローンの返済に余裕があることが条件になります。


上記図で確認できる通り、購入当時からオーバーローンであるということを認識したうえで、返済可能な額を借りるようにしましょう。

そしてもう一つの注意点は、「住み替えローンを融資してもらう日」と「家を売ってローン残債を一括返済する日」が一致しなければなりません。

住み替えローンの場合は家の売却活動が先になり、買い手が見つかって物件を引き渡すまでの期間で自身の新しい家を購入しなくてはいけない為、通常より急いで購入物件を確定させなくてはいけません。

この方法を取る場合は、あらかじめ住みたいエリアや物件条件を絞っておいてから売却活動を開始しますが、売却が思ったよりスムーズにいかない場合は、希望物件が売れてしまうというリスクもあります。


資金の調達が不可能であれば任意売却をするか判断する

どうしても資金の調達が不可能であれば、任意売却をするという選択があります。

ただし、任意売却を行うと途中で引き返すことはできないためリスクを把握したうえでご検討ください。
リスクに関しては第3章にて詳しくご説明します。

 

任意売却とは?

任意売却とは、売却代金で住宅ローンを一括返済できない場合でも、債権者(住宅ローンを貸している銀行やその保証会社)と交渉することで、抵当権を外してもらって売却をする方法です。

【任意売却の特徴】

① 住宅ローンを滞納していても不動産売却ができる
② オーバーローン状態でも売却できる

任意売却について詳しくは「【徹底解説】任意売却で競売を避ける!2つの特徴・3つの注意点とは」にてご確認いただけます。

 

任意売却の選択をした際のデメリットと注意点

住宅ローンの残高が残ってしまい、一般売却は無理であるが足りない資金を補えない場合は任意売却という方法をとることが可能です。

ただし、任意売却はデメリットと注意点もあるため、まずは「任意売却」を知ることが重要です。

任意売却とは、簡単に言うと銀行側に住宅ローンの支払いを諦めてもらうということです。
支払いが不可能であるので銀行側の承諾する価格で売却の許可をもらうということになります。

ただし、任意売却にはもちろんデメリットもありますので、以下の点を踏まえて任意売却するかどうか判断する必要があります。

 

任意売却の過程で信用情報に傷が入る

まずは、信用情報に傷が入るということです。
このことは、俗に「ブラックリストに載る」と言いますが、これは住宅ローンを滞納したときに起きてしまいます。

任意売却をするためには一定期間の滞納が必要になるため、結果的に住宅ローン滞納段階で信用情報に傷が入ることになります。

任意売却を行うにあたっては避けられないため知っておかなくてはなりませんが、信用情報に傷が入ると今後のローンの借り入れが困難になってしまいます。

そのため、新居に買い替えるために現在の自宅の売却を検討している方は、任意売却してしまうと新居の住宅ローンを組めなくなってしまいます。

従って、買い替えのために任意売却を選択することは事実上できませんので、前述の住み替えローンを検討しましょう。

 

債務整理も同時に考える

2つ目は、任意売却後も住宅ローンの残債は残るということです。

任意売却の場合、売却後に残ってしまった残債は、銀行側との交渉で分割払いにしてもらうことができます。
または、債務整理として(任意整理、個人再生、自己破産)を選択して債務をきれいにします。

どのような方法で債務を返済するかは売却後に決めることができますが、任意売却をしたら残りの債務をどうするのかも同時に考えましょう。

 

差し押さえをされないようにする

3つ目は、任意売却を決めた場合、差し押さえにも注意してください。
もうマイホームを手放すので税金は関係ないと思ってしまい、固定資産税を滞納したりしてはいけません。

もし他債務の滞納が理由で不動産に差し押さえが入ってしまうと任意売却が成立しなくなってしまうこともあるからです。

 

そもそも売れない場合も考える

最悪の場合は、任意売却を行っても買い手がつかず売れないということも考えられます。
この場合は、いずれ競売という形になります。

もちろん競売の場合も住宅ローンの残高が残ってしまうことになりますので、残った住宅ローンは返済しなくてはいけません。

他にも、任意売却自体を銀行側が認めず、交渉が不成立となってしまった場合も競売となってしまうことも可能性としてはあります。

このように、資金調達が難しく任意売却を選択するしかないとしても、デメリットや注意点があることを頭に入れておかなくてはいけません。

 

 

 まとめ

この記事で、住宅ローンが残っていても家の売却が可能であることが分かりましたが、一般的な売却とは違い、抵当権解除のために、残債をどう処理するかも同時に考えなくてはいけないことが分かりました。

どのような選択をした場合も住宅ローンが残っていたらお金を借りている銀行の許可がなくてはいけないのです。

そもそも抵当権は勝手に住宅ローンの返済をやめて、売ってしまわないようにと付けられている権利設定であるので取れる方法としてはなんとか一括返済を行うか任意売却かということになります。

それぞれの売却したい理由にもより取るべき手段は異なりますが、記事がご参考になればと思います。

 

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