実例解説!住宅ローン破産に陥る原因とリスク回避するローンの組み方

夢のマイホームを手に入れたものの、ローンを払えず住宅ローン破産に追い込まれてしまう人には、いったいどんな原因があるのでしょう。

当社では、これまで延べ3000人以上の住宅ローン破産者のご相談をお受けしてきました。
その中で、住宅ローン破産に陥る引き金となった原因を、実際の相談者のヒアリングを基にまとめました。

その結果分かったことは、決してそのような方々が一様に無計画であったり怠惰だったわけではなく、誰にでも起こり得る原因で住宅ローン破産に陥ってしまっている方が多いということです。

ここでは、住宅ローン破産の原因と、そこから見えてきたリスクを下げる住宅ローンの組み方について解説していきます。

 

住宅ローン破産に陥る原因ランキング

当社にご相談いただいた方々から、住宅ローンが払えなくなってしまった原因をヒアリングした結果が以下のグラフです。

ただ単にその人が怠惰や無計画というわけではなく(その要素が全くないわけではありませんが)、勤務先の業績不振や、病気・ケガによる失業、離婚など、「家を買うときには想定はしていないけど誰にでも将来起こり得ること」が原因となっていることが分かります。

これは決して他人ごとではなく、誰にでも住宅ローン破産は起こり得るということです。

※多くの相談者は複合的な要因で住宅ローンが払えなくなっているため、複数回答ありでヒアリングしています。


原因1.勤務先の業績不振による減収・リストラ

最も多い住宅ローン破産の原因は、家を買った時に勤めていた会社の業績不振により、収入が減ってしまったり、リストラで失業してしまったという理由です。

その中でも特に多いのが、ボーナスや残業代を前提に住宅ローンを組んでしまっているというパターンです。

ボーナスが毎年出ることを前提にボーナス払いを設定していたものの、会社の業績低迷でボーナスが支給されず、ボーナス払いの分が払えなくなってしまったという方が非常に多くいらっしゃいます。

【破綻者の声】

「年2回のボーナス月は35万円も返済しなければならないのですが、会社の業績が悪くなってボーナスが支給されず、もう払えません」

「勤務先が破産寸前になりリストラで失業してしまいました。しばらくは失業保険で賄いましたが、年齢の問題もありそれまでと同じくらいの給料をもらえる転職先が見つからず、再就職したものの収入が下がってローンの返済が重くのしかかりました」

 

原因2.離婚

意外かもしれませんが、2番目に多い原因が「離婚」です。

夫婦共働きによるダブルインカムを前提に住宅ローンを組んでいたものの、離婚して家族が出ていき不必要に広い家と重たい住宅ローンだけが残るという悲惨なご相談者が後を絶ちません。

特に、住宅ローンの返済に加えて養育費の支払いも重なることで、返済が困難になってしまうことが多いようです。

また、配偶者が連帯保証人になっていると離婚しても連帯保証は解除できません。
そのため、離婚してから何年も経ってから住宅ローンを払えなくなり、元夫と元妻ともに破産に追い込まれるケースも目立ちます。

【破綻者の声】

「離婚して妻と子供が出ていき、自分一人では住宅ローンと養育費の両方を払っていくことは到底無理でしたので、仕方なく家を任意売却することにしました」

「元夫が家を出て、養育費の代わりに住宅ローンを払っていくという約束だったのに、離婚後3年経って急に返済がされなくなってしまいました。私1人では絶対に払えないですし、私も連帯保証人になっていたので、私まで破産に追い込まれてしまいました」

 

原因3.病気やケガによる失業・転職

同率で3番目に多かった原因は、「病気やケガ」などの体調不良による収入の減少です。

大きな病気やケガをしてしまい、それまでの仕事が続けられなくなってしまったり、転職を余儀なくされて収入が減ってしまったという方が多くいらっしゃいます。

もちろん、将来の体調までは予測することができませんので、万が一に備えて余裕を持ったローンを組んだり、働けなくなった時の収入を保障してくれる保険に入っておくことも重要と言えます。

【破綻者の声】

「体調を崩してしまい2ヶ月の入院となりました。退院後も完全には回復せず、それまでのようにハードワークができなくなくなったため、転職して収入が下がってしまいました。医療費もかさみ、これ以上はローンの返済ができませんでした。私の病気の場合は団体信用保険の対象外ということで、住宅ローンも免除されませんでした」

 

原因4.経営者や個人事業主の事業の失敗

住宅ローン破産に陥る人の2割近くを占めるのが個人事業主や中小企業の経営者です。

事業を営んでいる方は、業績が良いときはサラリーマン以上の収入を得られることが多いため、立派な家を建てて高額なローンを組んでいることも要因のひとつに挙げられます。

一方で、収入が安定せず、業績が悪くなると収入が大きく落ち込み、そのタイミングで住宅ローンを払えなくなる人が多くいらっしゃいます。

【破綻者の声】

「景気が良かった時に調子に乗って必要以上に豪華な家を建ててしまったと思います。これからも自分が頑張ればずっと今の生活が続くだろうと思っていました。でも自分の業界の景気が悪くなると自分の努力だけではどうしようもなくなって、収入がピーク時の半分近くに下がってしまいました。これではもうローンは払えまないので家を手放すしかなくなってしまいました。」

 

原因5.定年退職による収入減

続いて多く見られる住宅ローン破産の原因が定年退職後の収入低下によるもので、いわゆる「老後破産」です。

住宅ローンの完済年齢が70歳以上に設定されていると、このパターンに陥る可能性が高くなります。

そもそも、定年退職後の年金生活で現役時代と同じ金額を払い続けるということ自体に無理があります。

完済年齢が70歳以上に設定されている場合、退職金で繰上げ返済することが前提となっていますが、転職などを理由に想定していたほど退職金が出なかったという方も珍しくなく、老後破産の要因となっています。

「老後破産の悲惨な現実!その実例と今からできる対策」

【破綻者の声】

「ローンを組んだときは退職金で全部払ってしまえば、老後は悠々自適に暮らせると甘く考えていました。しかし、家を買ってから転職を繰り返したことで、給料も下がり退職金もほとんど出ませんでした。定年後は年金とアルバイトの収入のみで、住宅ローンを払うと月々の収支はマイナスです。とても75歳まで返済を続けていくことができません」

 

原因6.浪費・無計画

単純な浪費や無計画な出費は、住宅ローン破産の直接的な原因としては全体の7%と意外と多くありません

つまり、極端な浪費をしていたり、ある程度の計画を持って生活していても、住宅ローンの返済ができない状態に陥ることは誰にでもあり得るということです。

ただし、浪費や無計画さが、病気や失業などの他の原因と複合的に絡んでいるケースは比較的多く、直接的でなくてもやはり主要な要因のひとつと言えるかもしれません。

 

原因7.同居人の死亡

これは稀なケースですが、同居人の死亡により住宅ローンが払えなくなる方もいらっしゃいます。

基本的に住宅ローンは、債務者(住宅ローンを借りた人)が死亡すれば残りのローンは無くなるという団体信用保険に加入することが必須です。

しかし、フラット35など例外的に団体信用保険の加入が必須でない住宅ローン商品もあります。

そのため、団体信用保険に入っていなかった債務者が死亡した結果、家族がその後の住宅ローンを払えず、自宅を失うというケースがあります。

また、夫婦の収入でローンを払っている家庭では、債務者ではない同居人が死亡した結果としてローンを払えなくなるというケースもあります。

例えば、債務者が夫のケースで、夫婦の年金で住宅ローンを支払っていた場合に、債務者ではない妻が先に亡くなって年金収入が下がるケースです。(債務者である夫が先に亡くなった場合は団体信用保険で残りのローンが無くなりますが、妻が亡くなってもローンは消えません)

 

住宅ローン破産のリスクを回避する家の買い方

ここまで住宅ローン破産に陥ってしまった方々の原因を解説してきました。
では、そのようなリスクを回避するためには、どのような住宅ローンの組み方をするべきなのでしょうか。

 

頭金を最低1割、できれば2割は支払う

近年、家の購入代金の全額あるいは諸費用まで含めてフルローンで家を購入される方が増えています。
つまり1円も出さずに家を買えてしまうわけです。

フルローンで家を購入される方の多くは貯金が少ないうえに、高額なローンを組むため毎月の返済負担が大きくなります。そのため、不測の事態に陥ったときにすぐに返済が滞ってしまうのです。

また、フルローンで家を購入すると、万が一住宅ローンが払えなくなって家を売らざるを得なくなったときに、「家を売ってもローンを全額返せず残債が残ってしまう」という、いわゆるオーバーローンの状態に陥りやすくなります。

こうなると、家も失ったうえに借金だけが残るという最悪の結末を迎えることになります。

そのような事態を防ぐために、やはり頭金は最低1割、できれば2割は自己資金で出しておくべきでしょう。
逆にそれが出せないのであれば、そのくらいの貯金ができるまで購入を見送るのも選択肢の一つです。

 

連帯保証・共有名義は避ける

これは、住宅ローン破産の原因として2番目に多い「離婚」に備えるためです。
もちろん家を買うときに離婚を想定する人はいないと思いますが、今は3~4組に1組は離婚する時代です。

そうなったときに、連帯保証で住宅ローンを組むことは大きなリスクになります。

また、離婚しなかったとしても、もし住宅ローンを払えなくなったときに夫婦で連帯保証をしていると、夫婦で一緒に破産に追い込まれ、生活の再建がより難しくなってしまいます。

そのため、連帯保証人を求められた場合は、連帯保証人なしでもローンを組めるくらいまで、家の予算を下げたほうが良いかもしれません。

「Q:離婚したら夫の住宅ローンの連帯保証人を外れられますか?」

 

完済予定年齢を65歳までに設定する

住宅ローンは多くの場合で最長35年での返済が認められます。
そのため、40歳で35年ローンを組んだ場合は完済年齢が75歳になります。

しかし、定年退職後に年金だけで現役時代と同じ金額のローンを返済し続けることは非常に困難です。

そもそも完済年齢が70歳を超えるようなケースは、退職金による繰上げ返済を前提としています。
しかし、何十年も先の退職金など全く保証されていません
今の会社に勤めていないかもしれませんし、今の会社が倒産しているかもしれません。

そのため、退職金に頼らなくても返済に困らないよう、住宅ローンの完済予定年齢を65歳までに設定できるくらいの予算で家を購入するべきです。

 

収入に対する返済比率を25%以下に抑える

返済比率とは、年収に対していくら返済に充てるかという割合です。
例えば、年収400万円の人が年100万円をローン返済に充てるとしたら「100万円÷400万円」で返済比率は25%となります。

これは各金融機関によって基準が異なりますが、最大で返済比率40%までの借入が認められます。

しかし、実際に収入の40%を返済に回すとなると家計は非常に苦しくなります。
また、最初からギリギリの状態で返済をしていくと、もし何か不測の事態に陥ったときにすぐに家計が破綻してしまいます。

従って、今の収入に対して返済比率が最低でも25%、理想は20%以内に収まる予算で家を購入することをお勧めします。

「一目でわかる!適正な住宅ローンの返済比率と失敗しない借り方」

 

ボーナス払いなしで毎月余裕を持って払える予算に抑える

ボーナス払いが要因で住宅ローン破産に陥る方も少なくありません。

当たり前ですが、ボーナスは毎年支給される保証はなく、勤務先の会社の業績に左右されます。
しかし、ボーナスが出なかったからといってボーナス払いはなくなりません。

そして一番悲惨なのは、定年退職後もボーナス払いが残るようなケースです。
当然、年金にボーナスはありません。

定年退職後にボーナス払いが残ってしまったことが原因で、老後破産に陥ってしまう高齢者も大勢いらっしゃいます。

ボーナスは将来的な保証がないことを前提に、ボーナスに頼らなくても返済していけるくらいの余裕のあるローンの組み方をすることが大切です。

 

まとめ

ここまで住宅ローン破産に陥ってしまった方々の主な原因と、そのようなリスクを抑えるための住宅ローンの組み方についてお伝えしました。

前述の通り、住宅ローン破産に陥る原因は単純な浪費や無計画さだけでなく、家を買うときには想定もしなかった不測の事態が引き金となることが多いのです。

そのため、「まさか自分は大丈夫だろう」とか「頑張ればなんとかなる」という甘い考えではなく、リスクの低い余裕を持った住宅ローンの組み方をすることが大切です。

 

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