一目でわかる!適正な住宅ローンの返済比率と失敗しない借り方

家を買おうと決めた場合、多くの方が住宅ローンを組むと思います。
この住宅ローンをいくら借りるかで、住宅の購入予算が決まりますが、借入額を決めるときにポイントになるのが返済比率です。

返済比率の計算は、

返済比率 = 年間返済額 ÷ 額面年収

で算出することができます。

銀行によっては最大で返済比率40%まで融資するところもありますが、一般的に無理なくゆとりを持って返済していくには、返済比率を20~25%迄とするのが適正比率とされています。

 

例えば、額面年収が600万円の人が、年間返済額が120万円の住宅ローンを組むと、120万円÷600万円で返済比率が20%となります。

逆に、年間120万円を返済するローンを組むということは、金利1.3%(固定)の35年返済の場合、3400万円までローンを組むことができます。

当然ながら金利が上がったり、返済期間を短く設定すれば、毎月の返済額は大きくなり返済比率も上がります。

【年収600万円で返済比率20%の例】
〇借入期間35年
〇金利1.3%(固定)
〇借入額3400万円
〇総支払金額4200万円(利息含む)

では、この返済比率20%が本当に適正なのでしょうか。また、返済比率を20%に設定した場合、毎月の返済額はいくらとなり、家計にどう響いてくるのでしょうか

この記事では、人生で最大の買い物となる住宅ローンの組み方を失敗しない為に、自身にあった適正な住宅ローンを知ることができます。

 

適正な住宅ローンを知る4つのステップ

 

それでは、適正な住宅ローンを知るために4つのステップを踏んで考えてみましょう。

適性返済比率を計算

最初のステップは、自分の適正返済比率から毎月の返済額を知ることになります。
また、年収からみる借入可能額も確認しておきましょう。

 

年収別返済比率

まずご自身の現在の額面年収を下記の表1.から探します。

【例:年収600万円の場合】

この表の毎月の返済額は、「ゆとりある返済」の目安になります。
計算式は、額面年収 × 返済比率 ÷ 12カ月 = 毎月返済額 で計算しています。

【表1.年収別の返済比率に応じた毎月の返済額】

例えば、年収600万円の方は返済比率20%で見ると毎月返済額は10万円ということになります。

 

年収から見た返済比率別の適正借入額

次に借入可能額の確認です。

【条件】:返済期間は35年、金利を1.3%で仮定した場合の、返済比率ごとの借入可能額の目安です。

 

【表2.年収別の返済比率に応じた借入額】



例えば、年収600万円の方は、返済比率20%以内で考えると3300万円が借入上限額となります。
返済比率30%以内で考える場合は4200万円まで借り入れることができます。

※実際に借り入れが可能になるかは金融機関の審査基準により異なります。

 

借入額と返済期間からみる理想の返済額 

続いて、借入額(物件価格+諸費用ー自己資金)から毎月の返済額を見てみましょう。

上記の表1で見た毎月返済額より高い場合や、表2で確認した借入可能額から外れている場合は危険ですので、購入する物件の予算を下げたほうが良いかもしれません。

【条件】:金利を1.3%で仮定し、ボーナス返済無しとした場合の、返済期間ごとの毎月の返済額です。

 

【表3.物件価格と返済期間に応じた毎月返済額】

例えば、先ほどの表1で見た場合、年収600万円の方が返済比率20%以内に収めるためには、毎月の返済額は10万円でした。

これを返済期間ごとに見ていくと、表3の通り毎月10万円前後の返済額で抑えるためには、35年返済にすると借入額は3500万円前後、25年返済とする場合は2700万円前後が借入額の上限となります。

 

家計簿診断をして、ゆとりある返済比率を知る

 

さて、一般的な適正返済比率をもとに住宅ローン返済額を導き出すことができましたが、実際には家庭毎に「ゆとり」の幅は異なっていると思われます。

そのため2つ目のステップは、家を購入すると掛かる住宅ローン以外のランニングコストを把握しておくことです。

 

住宅ローン以外のランニングコストを把握

考えられるランニングコストは以下の通りです。


マンションの場合、管理費や修繕積立金を加えると、合計で毎月4.5万円は住宅ローン以外に掛かる費用が増えます。また、毎月ではありませんが固定資産税や火災保険なども考慮しておいた方が良いでしょう。

つまりこの時点で、先ほど年収600万円の返済比率20%として導き出した住宅ローン返済10万円と足して、毎月約14万円を住居費用に当てていることがわかりました

この場合、年間返済額は168万円となり、年収600万円の方の場合で再計算すると返済比率は28%です。

これであれば一般的にはある程度余裕を持って返済していけますので、表2で見た借入額の約3700万円を借りても返済が困難となる可能性は低く、購入しても大丈夫ということになります。

 

ただし、収入の28%を住居費用としているということになり、残りで生活を考えなくてはいけません。ここから生活費を明らかにするためご自身の家計簿診断を行います。

【条件】
年収600万円の方の場合で、手取り給与額は480万円。
ボーナスが年間約2か月分支給と想定すると毎月の収入は約34万円です。

この毎月給与の34万円から住居費を14万円使いますので、20万円でやりくりをすることになります。

イメージが付きやすいように平均的な家計簿は下記の通りです。


このように自身の家計簿診断を当てはめることで、本当に無理のない返済比率になっているのか確認をしてください。

もちろん、すべての家庭共通で適正な返済比率というのは存在せず、毎月の出費などの家計によって適正比率が変わってきます

毎月の出費が少ない方は返済比率が30%を超えてもゆとりを持って返していくことができるかもしれませんし、逆にお子さんが多いなどの理由で出費が大きい家庭では返済比率20%を超えると家計が苦しくなってしまうでしょう。

 

条件が良くても借りすぎは危険

ここで、「わたしたち夫婦は世帯年収が1000万円で余裕があります。」という場合も注意が必要です。

同じように上記の表で確認をしていくと条件の良い方は5500~6000万円までの借入が可能ということが分かります。
しかし、返済比率で確認した金額が借入可能であるとしても、返せる金額であるのかはまた別の問題となります。

一般的には年収1000万円の方の家計簿診断をしてみると、「ゆとり」の幅は年収600万円の方と差がでないことが多いからです。

こちらもイメージが付きやすいように、年収1000万円の共働きの家庭を想定して家計簿診断をします。

【条件】
年収1000万円 手取り給与額は700万円。
ボーナスが年間約2か月分支給、毎月の収入は約50万円です。


住居費用に当てる金額を毎月21万円とすると、残りは29万円で生活をします。

年収の高い方は生活にかかるお金も少しずつ多くなる傾向がありますので、家計表を作ってみると毎月の収支はそれほど変わらないといった状況になります。

このように、大きく「ゆとり」が増えているわけではない家計状況で、6000万円の借入をした場合、単純に借入金額が増えるだけではなく、返す利息も増えているため予想外に返済額が大きくなってしまうことが注意すべき要点となります。

 

借入金額と返済総額

借入金額が増えると総支払額はどのように増えているかは下記の通りです。

注意が必要なのは、借入額が500万ずつ増えると総支払額は500万円を上回る金額で増えていることです。

 

借入時の金利によって異なりますが5500万円の借り入れた場合は、総支払額は6600万円になっています。
6000万円借り入れた場合は、総支払額は7200万円です。

借入額は500万円増えただけですが、総支払額は600万円増えており、金利返済分がどんどん増えているのが分かりますでしょうか。

総支払額が増えた分、毎月の返済額も増えるので、長い年月を掛けて返済することになる住宅ローンは、ずっと「ゆとり」ある返済額を導き出さなくてはいけないはずです。

できれば、ご自身が60代になったときにも維持出来る毎月の返済額に設定することをお勧めしています。


銀行の住宅ローン審査の許容額を知る

ここまでで、ご自身の適正返済比率から見る、「借入金額」を知ることができたと思います。
3つ目のステップは、実際に借り入れをする銀行の住宅ローン審査の許容額を知ることです。

 

フラット35の借入上限と返済負担率

フラット35の借入上限と返済負担率は下記の通りです。

【フラット35の返済比率の基準】
一律、年収が400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下
借入上限は8,000万円

つまり年収が200万円の方でも30%以下の返済比率ならば借り入れが可能になることがあるということです。

これにより20%の適正返済比率より高めの物件でも借り入れることができるため、少し無理をしてでも住みたい家を購入することができます。

逆に年収の高い方は、35%以下の借入額となるため、もう少し高い返済比率でも欲しいと思っていた高額物件の借入ができずに資金が足りないということもあります。

返済比率35%を超える価格の借入をしたいという場合にはフラット35は向きません。

 

一般的な住宅ローンの借入上限と返済負担率

一般的な住宅ローンの返済負担率は下記の通りです。

【一般的な住宅ローンの返済負担率の基準】
年収100万円以上300万円未満は20%以下
年収300万円以上450万円未満は30%以下
年収600万円以上は40%以下
借入上限は1億円

(※金融機関によっても異なります。)

このように一般的な住宅ローンは基準が細分化されていることが多いのが特徴です。
※同じ年収でも、金融機関によって借りられる限度額は変動します。

年収別に返済比率が異なるため、年収が高い方で借入額を増やしたい場合にはフラット35より借り入れができる場合があります。

もちろん、住居費用に当てる割合が増えたということは、残りの収入で家計のやりくりを考えなくてはいけません。

繰り返しにはなりますが、借りられる金額=返せる金額ではないので、ゆとりある返済比率と銀行で借りられる返済負担率は異なるということを知っておきましょう。


自身に合った借入先を見つける

4つ目のステップは、自分に合った借入先(銀行)を決めることです。

フラット35で借入を決めた場合は、フラット35の取り扱いがある会社になります。それ以外にも住宅ローンはメガバンクはもちろん、ネット銀行や地方銀行、信金、労金、JAなどでも借りることができます。

ネット銀行ならば金利が安いというイメージを持たれている方も多く、ホームページでも金利が安いことを打ち出していますが、ネット銀行が必ずしも良いということはありません。

諸費用が異なっていること、条件によっては優遇金利が異なること、返済期間やプランによって金利が変わること、様々な要因があるからです。

表面的な金利だけで決めてはいけないため、自分にあった借入先を見つけるポイントをお伝えします。

 

審査に不安がない人はネット銀行がお勧め

ネット銀行がお勧めな方は、審査に不安が無い方です。
例えば、①過去に滞納がない方②他、借入が少ない方③自営業でない方などです。

ネット銀行の場合は、ご本人様で書類を揃えて進めていくため、手間がかかるということも一つありますが、一般的に審査の基準が厳しく設定されていることが多いからです。

 

アドバイスが必要な方は地方銀行がお勧め

地方銀行がお勧めになる方は、細かなアドバイスが必要な方です。

購入する物件の近くの銀行であることが一番好ましいですが、お近くの銀行でなくても窓口がある銀行であればどの金利プランを選ぶことが適切であるかアドバイスをもらうことが可能です。

住宅ローンの返済期間や固定金利・変動金利のメリット・デメリットをきちんと理解した上で組みたい方は対面による相談をお勧めします

また、地方銀行では比較的柔軟な対応をしてくれるため、事情を説明すればメガバンクやネット銀行では借入が難しい人であっても借入が可能になることもあります。

 

返済比率が高くても物件が欲しい場合

さて、1章では適正な返済比率から借入額の決定、借入先を決めることができたでしょうか。

この章では、余裕ある返済比率で物件を探していたものの、見つかった購入希望の物件では返済比率が高かったという場合どうしたらよいのかをお伝えします。

もちろん1つは諦めて、価格を落とすということですが以下の場合はきちんと計画しておけば購入も可能になります。

 

返せる金額の為には頭金は必須

1つ目は、返せる金額にするために、頭金を必ず用意することです。
返済比率が高くなってしまったわけなので、ゆとりある返済比率にするためには頭金の額を増やすということで対処が可能になります。

借入金額が少なくなる分、それに伴い金利も少なくなるので総支払額は少なくなるからです。

近年日本が低金利時代であることから、「金利が安い為、頭金がなくても大丈夫。」と、諸費用も込みで借りてしまう方も多くいらっしゃいます。ですがやはり、借入額自体は少ないほうが良いのです。

将来的な備えの為に貯金を使わずストック資産とすることも大切とされていますが、住宅ローンはあくまでも借りたお金であることを忘れてはいけません。諸費用も借りてしまうことは本来はお勧めはできない方法なのです。

返済比率が高くなってしまった場合は、頭金を増やして、適正な返済比率にしましょう。

 

年収のアップダウンが少ない職業の方であること

2つ目は、年収にアップダウンが少ない職業の方でなくてはいけません。(例えば、自営業の方や歩合制で給与が決まる方はアップダウンすると考えます)

前章で述べたように、住居費用の割合が決まれば、残りの収入で家計簿を考える必要があります。
そのため少し高い返済比率で住宅ローンを組んだ場合も残りの収入で上手にやりくりをすれば良いのです。

住居費用の割合が高いので、食費はなるべく抑えることや旅行など娯楽は計画的に積み立ててから行う。など工夫することによって可能になるはずです。

ですがこの高い返済比率にしていた場合は、思わぬ事態によって収入が激減してしまい、収支のバランスが崩れてしまったとしたら、毎月の返済が困難になることも考えられます。

また、残業によって年収が上がってしまっている方も同じように危険を想定しなくてはいけません。
住宅ローンは、35年間など長期で返済を行う事になります。
この住宅ローン返済期間、ずっと同じように残業があり収入が変わらないとは限らない為、残業代を考慮しない状態を基盤に考えなくてはいけません。

一時期的に忙しくなり収入がアップした状態で返済比率を計算しないようにしましょう。

 

 まとめ 

今回の記事をもとにあなたにとっての適切な住宅ローンの組み方を見つけることが大切です。

簡易的な住宅シミュレーションや銀行で借りることができる金額であるから大丈夫。
という判断ではなく、しっかりと最後までの返済をイメージすることが大事です。

一度組んでしまうと簡単には変更できないのが住宅ローンです。
ご家族でよく話し合われて、適正な返済比率をもとにご自身にあった返済計画を立てましょう。

 

無料相談実施中!

当サイトの記事をお読み頂いても問題が解決しない場合には専門家にご相談頂いた方がよい可能性があります。

ご相談は無料ですのでお気軽にライフソレイユまでお問い合わせください。