会社が破産しても社長の家は守れる?~法人破産とリースバック

本来、事業会社などの法人と社長個人は別人格であるため、法人の破産と社長の自己破産は必ずしもセットではありません。

しかし、日本の中小企業ではほとんどの場合において、会社の債務を社長個人が連帯保証しているため、会社が破産すれば債務が社長個人に請求され、結果として社長も自己破産せざるを得ないというのが現実です。

社長が自己破産をすれば、当然ながら社長の自宅も処分せざるを得ません。

では、会社が行き詰って破産せざるを得なくなった場合に、社長の自宅などの資産を守ることはできるのでしょうか。

 

原則は社長個人の家も処分

自身の経営する会社を破産申請すると、連帯保証人に債務が請求されます。

ほとんどの中小企業では、借入をする際に社長個人が連帯保証をしているため、実質的には社長個人の自己破産もセットで行うことになります。

当然ながら、自己破産をすれば自身が所有する資産は処分しなければなりませんので、自宅も売却せざるを得ません。

従って、社長自身が自宅を”売らない”という選択肢は存在しません。
しかし、自宅を”売っても住み続けられる”方法は存在します。それがリースバックです。

 

リースバックで社長の家を賃貸に切り替えればそのまま住み続けられる?

 

リースバックとは?

リースバックとは、一度自宅を不動産会社やリース会社、個人投資家などに売却し、その後その家を賃貸として借りることでそのまま住み続けられる方法です。

リースバック後は賃料を買い手(オーナー)に払っていくかたちになります。

※当然ながら、自宅を売却した代金は返済に充てなければなりません。

(リースバックについて詳しくはこちら>>)

 

自宅を賃貸に切り替えることで、破産後も家に住み続けられる

賃貸住宅はあくまでも借り物で「資産」ではありませんので、処分の対象にはなりません。

従って、破産をしても賃貸契約には影響しませんので、リースバックで自宅を賃貸に切り替えておけば、会社や社長自身が破産しても家を追い出されることはないのです。

ただし、会社や個人の破産に伴うリースバックには大きなハードルとリスクがありますので、十分に注意しながら進めなければなりません。

 

リースバックの条件とリスク

会社や個人の破産に伴って、自宅に進み続けるためにリースバックをするには大きなハードルとリスクがありますので、弁護士にも相談しながら十分に注意して手続きを進める必要があります。

リースバックの条件やリスクは、主に自宅の市場価値と債務額によって変わってきます。

 

「家の市場価値>債務の総額」の場合

自宅を売却した時の市場価値が、住宅ローンなどの個人の債務額と破産する会社の債務額との総額を上回っている場合、売却代金ですべての債務を返済できますので自宅を売却すること自体に問題はありません。

債権者の立場からすれば、債権を全額回収できれば文句はありませんので売却を否認されることはなく、リースバック契約も可能です。

なお、このケースでは資産額が負債額を上回っているため、社長個人まで破産する必要はありませんし、することもできません。

【注意:リースバック後の賃料を払っていけるか?】
仮に自宅をリースバックで売却することが認められても、その賃料を支払っていけるかという問題が出てきます。リースバックした場合の賃料は、自宅の売却額に比例して高くなりますので、地域の家賃相場よりも大幅に高額になってしまう可能性もあります。少なくても会社を破産させた後の収入の目途が立っていることが必要です。
(「リースバックの賃料はどうやって決まる?」詳しくはこちら>>)

 

「家の市場価値>抵当権や差押が入っている債務額」の場合

会社を破産させる場合、社長の自宅がその債務の担保になっていたり、滞納により差し押さえられていることが珍しくありません。

しかし、自宅の市場価値が、住宅ローンも含めて抵当権や差押が入っている債務額を上回っている場合は、売却代金で返済して抵当権や差押を解除できるため、売却すること自体は可能です。

従って、リースバック契約も締結することができます。

ただし、自宅に抵当権や差押が入っていない債務が残っている場合、自宅の「売却額」や「売却後に余った資金の使い道」によっては詐害行為に抵触して、後で売却自体が取り消されてしまう恐れがあるため十分注意が必要です。

【注意:詐害行為とは?】
詐害行為とは簡単に言うと「不当な財産隠し」です。例えば破産を前提に、あえて自宅などの資産を安く売ってしまうと、この詐害行為に抵触してしまう恐れがあります。

また、破産を予定しているのであれば、自宅を売却して余った資金は本来は抵当権がついていない債権者にも返済しなければなりません。そのため、余った資金を誰かにあげたり隠したり、不要なものに使ってしまった場合も詐害行為に該当します。

従って、このケースの場合は、「正当な価格(相場)で売却する」こと、「余った資金を生活費や破産費用など必要最低限度以外は使わない」ということが絶対条件です。

 

「家の市場価値<抵当権や差押が入っている債務額」の場合

会社を破産せざるを得ない場合、ほとんどの社長がこのケース、つまり自宅まで売却しても抵当権や差押が付いている債務を返済しきれないという状態に該当するのではないでしょうか。

このようなケースでは、自宅を売却すること自体に債権者の許可が必要です。

債権者の許可を得たうえで、残債を残したかたちで自宅を売却する手続きを任意売却と言います。(任意売却について詳しくはこちら>>)

任意売却の場合、売却価格の決定権は債権者にあります。

従って、少しでも高く売って債権を回収したい債権者と、少しでも安く買いたい投資家などの買い手の間で、売却価格の折り合いがつくかどうかが問題となります。

詳しくは「自己破産しても家を残す ~ 破産に伴うリースバック」の記事をご参照ください。

【注意:”根”抵当権が設定されている場合】
自宅に根抵当権が設定されている場合、債権者が任意売却を認めないことが多くあります。その場合、売却代金で全額一括返済をしない限り売却自体が認められないため、実質的に競売しか残されていないこともあります。

 

まとめ

自身の会社を破産させた場合、基本的には連帯保証をしている社長の自宅も売却せざるを得ません。

それでもどうしても自宅に住み続けたい場合は、リースバックという手段が取れることもありますが、上記の通りハードルやリスクがありますので、事前に弁護士や専門家に相談しながら慎重に進めていくようにしましょう。

 

 

無料相談実施中!

当サイトの記事をお読み頂いても問題が解決しない場合には専門家にご相談頂いた方がよい可能性があります。

ご相談は無料ですのでお気軽にライフソレイユまでお問い合わせください。