遅延損害金とは?計算方法・発生条件・対処法まで5分で丸わかり解説

借金の返済が期日までにできないと、「遅延損害金」が発生します。

これはカードローンや消費者金融、住宅ローンなど一般的な借金はもちろん、(請求されるかは別として)知人など個人から借りた資金でも同じです。

ただでさえ借金の返済が厳しい状況で、遅延損害金が加算されてしまうと返済が益々厳しくなってしまいます。

借りている額が少額であったり、延滞期間が短期であればまだ何とかなるかもしれませんが、借金が高額であったり、長期に渡っての延滞となると、借金が膨れ上がり返済が不可能になってしまい破産しか道がなくなってしまうかもしれません。

本稿では、そのような状況に陥らないよう

・遅延損害金はいつから発生するのか?
・どのくらいの利率で実際にいくら増えてしまうのか?
・借金が払えず遅延損害金が発生してしまったらどう対処すればよいのか?

など、遅延損害金について分かりやすく解説していきます。

 

遅延損害金とは?

まず、遅延損害金の内容や計算方法、発生条件などについて解説します。

 

遅延損害金の意味

遅延損害金とは、債務を滞納してしまった場合に加算される損害金です。
つまり、借金を約束の期日までに返せなかったことに対するペナルティにあたります。

遅延損害金はあくまでも債務不履行(滞納)に対する損害金であり、通常の利息とは異なります

遅延損害金の利率

遅延損害金の利率は非常に高額で、通常は消費者金融やカードローンでは年率20%かそれに近い利率、住宅ローンは14.6%で設定されているのが一般的です。

これは借入先の金融機関や契約内容によっても異なりますが、借りた時の契約書に明記されているはずですので、まずは契約書を確認してみましょう。

契約書がなければ借入先に連絡すれば利率を教えてもらえます。

 

借入先

標準的な遅延損害金利率

消費者金融

20%

銀行系カードローン

14~20%

住宅ローン

14.6%

※上記は標準的な遅延損害金の利率です。金融機関や契約内容によって異なる場合があります。

【遅延損害金の利率が取り決められていない場合】

銀行や消費者金融などからの借入の場合、ほとんどの場合で契約で遅延損害金が定められてします。

しかし、親族や知人などの個人や、金融機関・貸金業者以外からの借入の場合、この遅延損害金が定められていないことも多々あります。

遅延損害金は定められていないから払わなくてよいというわけではありません。
逆に貸した側は遅延損害金を事前に定めていなくても、約束の期日までに返済されなければ遅延損害金を請求することができます。

遅延損害金の定めがない場合の利率は、民法で規定された法定利率が適用されます。
法定利率はこれまで5%でしたが、民法の改正により2020年4月1日より3%に変更されました。

※民法改正に伴い、上記の法定利率は3年ごとに見直されることが決まりました。
※これまで商取引における法定利率は商法で規定された6%でしたが、これが撤廃され民法の利率に統一されました。


どうなると遅延損害金が発生するのか?

遅延損害金が発生する条件として、返済期日に返済ができないと翌日から設定された利率で加算されます。

ただし、遅延損害金の対象になるのは延滞してしまっている金額のみです。
つまり、分割返済している場合は、その期日を超えてしまった元金に対してのみ遅延損害金が発生します。

例えば、50万円を毎月5万円ずつ10回で返済する契約で1ヶ月分のみ遅れてしまったとすると、遅延損害金の対象となるのは元金の50万円ではなく、延滞している1ヶ月分5万円のみということになります。

【期限の利益を喪失すると元金全額に対して遅延損害金が発生する】

期限の利益の喪失とは、一定期間に渡って滞納が続いたときに、分割払いの権利を失うことを言います。
簡単に言うと「滞納が続いたのでローン契約を解除します。残っている債務を今すぐ一括で返して下さい」ということです。

上記の例で言えば、滞納が続いたことにより元金50万円を10回に分けて分割返済する権利を失い、延滞してしまった分だけでなく、残っている借入全額を一括で支払わなければならなくなります。

期限の利益を喪失してしまうと、延滞した金額に対してではなく、残っている元金全額に対して遅延損害金が発生します。

そのため、非常に高い利率が元金全額に対してかかることになり、期限の利益を喪失した後はすごい勢いで一気に借金が膨れ上がってしまいます。

期限の利益の喪失について詳しくはこちら>>

 

※簡略化のため通常利息は考慮していません。

 

ケース別の遅延損害金の計算方法

遅延損害金の計算式は以下の通りです。

遅延元金 × 遅延損害金利率 × 遅延日数 / 365日

それでは実際にいくつかのパターンで計算してみます。

返済期日に一括返済するケース

【遅延元金50万円、遅延損害金利率20%で1ヶ月(30日)延滞】

50万円×20%×30日/365日=8,219円

 

毎月分割返済しているケース

【毎月5万円の返済を遅延損害金利率20%で2ヶ月(61日)延滞】

・1ヶ月目(5万円×20%×30日/365日)=822円
・2ヶ月目(10万円×20%×31日/365日)=1699円

計:2581円

 

住宅ローンを延滞し、期限の利益を喪失したケース

【残元金2000万円で期限の利益を喪失し、遅延損害金利率14.6%で1ヶ月(30日)経過】

2000万円×14.6%×30日/365日=24万円

上記の計算の通り、返済額が数間円程度で1~2ヶ月程度の滞納であれば、遅延損害金はそれほど大きな額にはなりません。

しかし、対象となる元金が高額であったり、延滞期間が長期化するにつれて遅延損害金が高額になり、払っても払って減らないという状況に陥ってしまいます

特に期限の利益を喪失してしまうと、対象となる元金が残っている残元金の全額となり、一気に膨れ上がってしまいます。

上記の例で言えば、住宅ローンなど高額な借入の期限の利益を喪失してしまうと、1ヶ月で数十万単位の遅延損害金が発生し、事実上返済不可能となってしまいます。

 

借金を滞納して遅延損害金が払えないとどうなるのか?

 

遅延損害金が発生しているということは、すでに借金の返済を延滞している状態です。
そのような資金的に厳しい状況で、さらに遅延損害金が加算されてしまうと益々追い込まれてしまいます。

では、遅延損害金も含め借金の返済が滞ってしまうとどうなるのでしょうか。

 

ブラックリストに掲載

借金を滞納してしまうと、その履歴が信用情報機関に登録されてしまいます。
この信用情報機関に掲載されることが、一般的に「ブラックになる」と言われる状態です。

ブラックリストに載ると、以下のようなデメリットがあります。

・住宅ローンや自動車ローンも含め、今後新たに借入をすることが困難なる
・クレジットカードが使えなくなる(ことがある)
・賃貸物件が一部借りづらくなる(一部の保証会社の審査が通らなくなる)

なお、どれくらいの期間滞納するとブラックリストに載るかという明確な基準はなく、各金融機関や貸金業者の判断となります。

一般的には2~3ヶ月滞納すると信用情報機関に登録されますが、数日の滞納でも何回も繰り返すと登録されてしまうこともあります。

 

給与や資産の差し押さえ

借金を滞納してしまうと、借入先から激しい督促が来ます。
そして、それでも払えないと、最終的には訴訟を起こされて給与や資産を差し押さえられてしまいます。

流れとしては、

①まず借入先から電話や郵送での督促状が届きます。
②それでも払わないと借入先から訴訟を起こされます。
③そして訴訟で判決が出ると、その判決を元に、給与や資産を差し押さえられます。

給与を差し押さえられた場合、毎月の給与から一定の割合いを強制的に差し引かれて返済に充てられてしまいます。

このとき、会社に通知が行くため、借金を滞納していることが会社にバレてしまいます。

資産を差し押さえられると、その資産を強制的に処分されてしまいます。
例えば預金口座を差し押さえられると、その口座の預金を返済に充てられてしまいます。

また、自宅などの不動産を差し押さえられた場合は、その不動産を競売により強制売却され、その売却代金を返済に充てられてしまいます。

 

借金を払えない場合の対処法

では、借金が払えず遅延損害金が膨らんでしまった場合、どのような対応を取ればよいのでしょうか。

 

滞納前に借入先に相談

まず真っ先にやるべきことは、滞納する前に借入先に相談することです。
滞納する前に状況を伝えて誠実に相談することで、借入先が返済条件の変更に応じてくれることもあります

例えば、以下のように返済条件を緩和してくれることもあります。

・一時的に返済額を下げてくれる
・一定期間、金利のみの支払いで元金の返済を猶予してくれる
・返済期間を延ばしてくれる

これをリスケジュールと言います。
ただし、リスケジュールは一時しのぎに過ぎず、返済期間が延びる分だけ金利がかかり、返済総額が増えることを留意しておく必要があります。

なお、基本的に滞納している状態では金融機関はなかなか返済条件の相談に応じてくれません。
できる限り滞納する前か今ある滞納分をすべて解消してから相談することが大切です。

 

遅延損害金カットの交渉

これは借入先にもよりますが、遅延損害金が発生してしまった場合、これを免除してもらえるように交渉するのもひとつの手です。

銀行や消費者金融などの貸金業者が相手ではなかなか応じてもらえませんが、個人や貸金業者以外の会社からの借入であれば、免除してくれることも多いでしょう。

また、サービサー(債権回収会社)に債権が譲渡された場合も、遅延損害金をカットしてくれる可能性がありますので、ダメ元でも交渉してみましょう。

サービサーは、本来の債権額よりも安い金額で債権を買い取っているため、元本だけでも回収できれば利益が出るケースがあるからです。

もちろん、ただ免除してくれとこちらの都合だけ言っても聞いてもらえませんので、「いつまでに一括で返す」「毎月いくらずつ返す」といったような返済計画とセットで打診することが求められます。

 

債務整理

現状の家計の状況から、現実的に返済の継続が難しい状況になってしまったら、無理な返済を続けずに債務整理をした方が良いでしょう。

債務整理には主に以下の三種類があります。

・任意整理
・個人再生
・自己破産

任意整理

任意整理は、借入先と交渉して返済条件を変更してもらう方法です。
例えば、返済期間を延ばしてもらったり、一部金利を下げてもらうなどです。
任意整理のメリットは、自宅や車など他の資産を失わずに済むことです。

個人再生

個人再生は、裁判所を通じて債務を大幅に圧縮する方法です。
任意整理と異なり、個人再生は債務の元本自体を圧縮することができます。
ただし、100万円以下にはできないので、債務の総額が100万円を大きく超える場合に有効です。

自己破産

自己破産は、裁判所を通じて債務をすべて免除する方法です。
債務が完全にゼロになる強力な手続きですが、基本的に家や車などの資産は処分する必要があります。

関連記事:自己破産で官報に載る本当の影響と、他人に知られる可能性が低いワケ>>

 

いずれの方法にもメリット・デメリットがありますので、まずは弁護士などの専門家に相談してみましょう。

 

資産の売却とリースバック

借金をどうしても払えず遅延損害金が膨らんでしまった場合、もし家や車などの資産があるのであれば、それらの処分も考えざるを得ません。

なぜなら、もし借金やローンの滞納が続ければ、いずれ資産を差し押さえられて競売で強制的に売却されてしまうからです。

しかも、競売で売却されてしまうと、競売情報がインターネットに公開されてしまううえに、通常の相場よりも安く叩き売られてしまう可能性もあります。

そうなる前に、先にご自身で資産を売却し、その売却代金で債務を返済してしまった方が得策です。

 

家を売却後も使い続けられるリースバック

「家を売却しないと借金を返せない、でもどうしてもこの家に住み続けたい」という場合、可能性のひとつとして挙げられるのがリースバックです。

リースバックとは、一言で言うと、家を売却した後にそこに賃貸として住み続けるという方法です。

このリースバックを活用することで、一度自宅を売却し、その売却代金で借金や住宅ローンを返済したうえで、買い手から家を賃貸として借りることで、売却後も引越しをせずにそのまま住み続けることができます。

ただし、
①借金や住宅ローンを一括返済できる金額で売れるか
②家賃は現実的に支払いが可能な金額に設定できるか
という大きなハードルがあるため、現実的には難しいケースもあります。

リースバックについて詳しくはこちら>>

 

まとめ

これまでお伝えした通り、ローンや借金を滞納してしまうと高額な遅延損害金が加算されてしまいます。
すでに返済が苦しくて払えていない状態で、更に遅延損害金が増えると、現実的に返済不能で破綻状態に陥ってしまいます。

大切なことは、そうなる前に前述の対策を取ることです。
滞納が続いて訴訟を起こされたり差し押さえをされる前に行動に移すことが大切です。

 

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