競売の開札とは?競売開始から開札後の流れをわかりやすく解説

あなたがもし住宅ローンの支払いが出来なくなり、銀行からの「督促」を無視してしまっていたとしたら…
その督促が一定期間が過ぎると、競売手続きの申立てを行われ、競売物件となります

この競売の申立後、裁判所は粛々と手続きを行うため、気づいたらその自宅は買い手が決まっていて引き渡さなくてはいけないという段階なっているかもしれません。

正確には、裁判所は決まった手順にてきちんと通知を行っており、競売申立て後は特別送達で「担保不動産競売開始決定通知書」を発送しています。

この競売開始のお知らせが届いた時点で、執行官により現地調査が行われ、「入札」期間や「入札」締切日が公開され、競売で落札参加する方が入札を行うことになっています。

そして、入札締切日が過ぎた後に行われるのが「開札」です。
開札となった時点で、最も高い金額で入札した人がその不動産を購入することが確定してしまうのです。

この記事では、競売開札の流れをかわりやすく解説致します。

 

競売開札とは

開札とは、入札期間終了後、あらかじめ定められた期日に管轄の裁判所内で実施され、裁判所の執行官がその場で入札書の入った封筒を開封し、入札者の名前と記入された金額を読み上げていきます。

入札者が多数いた場合、一番高い価額をつけた方が買受人となるのです。

この開札日を迎えた時点で競売の取り下げができなくなり、自宅は第三者のものになってしまいます

開札日以降も引き続き自宅に居座ると強制執行に進んでいきます。

それでは競売開札の流れを確認しましょう。

ちなみに開札時は基本的に競売参加者の立ち会いのもと行い、買受けた者は入札保証金を納めたまま手続きを行っていきます。
ただし開札日に必ずしも立ち会う必要はなく、電話やネットにて開札結果を確認後の対応でも可能とされています。


競売開札の流れ 


ここでは開札の流れを解説します。

【図1】

①入札後、開札結果が出る

先述したように、入札後は開札結果がでますが、この入札期間は1週間以上2週間以内の範囲で、各裁判所が定めます。

これは各裁判所のHPなどで確認をすることが可能です。

入札期間の終了日から1週間後の開札期日に、入札参加者立会いの元で開封を行います。
このとき1番最高額で入札した人に売却することが決定します。

2番目に高額の入札額を入れた方は次順位買受人になることができます。(1番の方が辞退したときに買える権利です)
ここで、1番最高額申出人が辞退した場合を想定して、入札保証金を納めたままにすることで次順位の買受人となるのです。

その他の入札申出者は直ちに入札保証金を取り戻して解散となります。


ちなみに、期間入札において買受の申出がない場合は、特別売却が実施されます。
つまりその競売物件に申込者がいなくても、結局は売却されてしまうということです。

 

②売却許可決定が下りる

さらに7日後が売却決定日です。
最高額入札者に売却できない事由(欠格事由)がなければ売却許可決定が下ります

この欠格事由は大きくは下記の3つです。

① 買受人が債務者であった場合
② 意思無能力者であった場合
③ 悪質な競売ブローカである場合及び関与がある場合

つまり、競売物件の所有者は買受人になれず、悪質である場合も、もちろん買受人にはなれません。
ただし通常この3つに当てはまる方は少ない為、基本的には1番最高額入札者に売却許可決定が下りるでしょう。

その他、売却許可決定が下りない事由としては、競売の申立てが取り下げられた場合と最高額入札者が辞退した場合です。
1番高額入札者が辞退した場合は、2番目の高額入札者の欠格事由が無いことを確認の上、売却許可決定が下ります。

こうして、売却許可決定が出た1週間後、売却許可決定の確定となります。

 

③買受人が代金を納付する

売却許可決定が確定されると、買受人に代金を納付してくださいという通知が届きます。
買受人は通知が届いたら代金を納付します。

この代金納付の期限は通常、約1カ月です。

指定期日までに指定口座に振込みを行った買受人は領収書と必要書類を持参して裁判所に出向くことになります。

 

④所有権移動が行われる

次に、代金納付と手続きが完了するといよいよ所有権移動です。
裁判所の登記官が法務局に出向き移転登記を行うのです。

完了した時点で、競売物件は新たな所有者(買受人)の資産となります。

①~④の期間は約1か月半から2か月です。
競売が開札された後は、このようにあまり期間は長くありません。

買受人が滞りなく代金納付を行い、必要書類を揃えることができた場合は淡々と進んでいってしまうでしょう。

 

競売の立ち退きとは

では、2章では競売物件からの立ち退きを解説します。

 

立ち退きまでの流れ

競売決定後、立ち退きまでの流れはどうなっているのでしょうか。図をご確認ください。

【図2】

①競売開始決定通知書が届く

第1ステップとして、裁判所より「競売開始決定通知書」という書類が届きます。
この通知は、競売するために調査日及び売却日が決まります。ということを意味します。

そして実際に売却のために執行官が競売物件を調査及び査定しに伺うので、執行官が訪れる日も連絡があります。
この執行官が訪れる日の立ち合いは必須ではありませんが、拒否することはもうできません。

また、立ち合いはなるべく同席することをお勧めいたします。
執行官は所有者が不在でも競売物件に入室することが許可されているからです。

 

②競売参加者が住宅周りを見に来ることもある

第2ステップとして、競売の参加者(入札予定者)が自宅周りを見に来ることがあります。
執行官は査定後、競売物件の最低入札価格と入札期間を設定し、公開していますので入札予定の方は実際にいくらで入札を行うか自身で査定するために現地調査を行います。

例え、執行官がこの価格以上で売却すると提示してもそれが買い手には市場価格より必ずしも安いとも限らないため、調査を行うのです。

この参加者は不動産業者である場合や、一般の方も行う可能性があります。
ご自宅の中までは公開する必要はありませんが、裁判所より公開された情報をもとに訪れる方がいることは予想されるのではないでしょうか。

 

③落札者が決まり、立ち退き交渉が行われる

第3ステップは、落札者(売却許可決定確定)が決まって所有権移転後、立ち退きを要求されます。
落札した新所有者はもちろん自身の不動産なので、待ったなしに立ち退きを要求するでしょう。
ここで、「出ていきたくない。」「自分の住んでいる家だ。」と言ったとしても所有者は落札者に変わっているため、不法占有者になってしまいます。

 

④それでも引っ越さないと引き渡し命令となる

第4ステップとして、それでも引っ越しをしないでいると裁判所より「引き渡し命令」となります。

落札者は代金納付後の6か月以内に「引き渡し命令」をしなくてはいけないため、立ち退きを拒否した場合すぐに申し立てる可能性は高いです。

そしてこの命令の強制力は強く、これ以上命令に背くと強制執行です。
執行官は法の権限の元、占有者を追い出すことになるのでゆっくり引っ越しをする余裕はありません。

引き渡しの命令が出て1週間以内に「不服申し立て」を行うことで、期間は延長することができますが、裁判を行うことになるためお金も必要であり、どのみち敗訴になってしまう(負けてしまう)ため現実的にはすぐに引き渡すことが良いでしょう。

 

競売後の残債は残り、返済しなくてはいけない

また、競売後の残債は残り、(債権者に)返済しなくてはいけません。

自宅を引き渡し後、新たな居住地で生活をすることになりますが、競売物件の債務は残っていることがほとんどです。
なぜなら、競売では市場価格より安く売却されることが多いため、売却された金額だけでは返済しきれず、残債が残ってしまうのです。

この残債が多かった場合は、もう自身の家は無くなったのに、長年かけて返済を続けていかなくてはいけないことになってしまうのです。

 

競売を防ぐ最後の手段がある

ですが、競売を防ぐ最後の手段があります。
既に競売決定通知が届いてしまった場合も最後の可能性として検討いただける方法です。

 

任意売却をする

方法としては、「任意売却をする」ということです。

実際、競売決定通知がなされた時点ではこの方法以外はありません。
任意売却は競売中でも同時進行することができるため、残された短い期間ですが一般的な市場価格にて売却することができます。

任意売却を成功させることができれば最悪の事態の競売を避けることができるかもしれないのです。
※詳しくは、(任意売却とは)をご参照ください。

 

任意売却のメリットとは

最後に、任意売却のメリットをまとめてみました。

① 市場価格に近い金額で売却できるため、残債を減らすことが出来る
② 任意売却が成功すれば、引っ越し期間を猶予してもらうことが出来る
③ 任意売却が成功すれば、引っ越し費用を見てもらえる場合がある

競売開始決定から開札までの期間は短いこともあるため、早い段階で専門家にご相談ください。
競売によって自宅を失う事態は避けることができたらと思います。

 

まとめ

「競売開札」の流れはわかりましたでしょうか。

競売物件はこの流れを経て、買受人を決定するため通常の売却方法とは異なっています。
不動産会社が仲介に入っていないため、粛々と進められ、開札日を迎えます。

その後立ち退きまではあまり期間がないため、今「競売開始決定」が行われてからどの段階になってしまったのか把握しておくことがとても重要になります。

本章では所有権移動まで約1か月半から2か月と述べましたが、既に開札後となっていた場合、買受人は入札保証金を入れていることから早々に所有権を移転したいはずなので、手続きや残代金納付を早めに行うこともあり、実際にはもっと短い期間で立ち退きが必要になるかもしれないと思いましょう。

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