三菱UFJ銀行の住宅ローンを滞納した時の適切な対応と任意売却を解説

三菱UFJ銀行で住宅ローンを組んだものの、収入の減少などの環境の変化で住宅ローンの返済ができず、滞納してしまうとどうなるのでしょうか。

三菱UFJ銀行は言わずと知れた日本最大の金融機関であり、住宅ローンを借りている人の数も最も多い銀行の一つです。

当社のご相談者様の借入先銀行としても、住宅支援機構(フラット35)に次いで2番目に多い借入先です。

本稿では、実際に三菱UFJ銀行の住宅ローンを滞納してしまった方の事例も踏まえながら、

・滞納してしまうとどうなるのか?
・どのように対処するべきか?

について解説します。

 

三菱UFJ銀行の住宅ローンを対応したときの流れ

それではまず、三菱UFJ銀行の住宅ローンを返済できずに滞納してしまった場合に起きることと、その流れを解説します。

 

 

銀行からの督促

住宅ローンが払えなくなり滞納してしまうと、最初に銀行からの督促が来ます。
最初の1~3ヶ月程度は、三菱UFJ銀行の住宅ローンを組んだ支店から督促の電話が入ります。

三菱UFJ銀行は対応が早く、住宅ローンを引き落とせないと当日か翌日には最初の電話が来ることが多いです。

最初の1回目滞納では「住宅ローン口座にご資金が入っていなかったためお引き落できませんでしたが、以下がされましたでしょうか?」といった柔らかい対応の連絡が来ます。

この段階であれば「すぐに払います」「〇日までに払います」と答えればそれ以上は追及してきません。

しかし、更に約束した期日までに払えなかったり、2ヶ月目以降になってくると「いつまでに支払えますか?」「これ以上遅れてしまうと債権回収会社に移管してしまいます」というように、非常に厳しい対応になってきます。

なお、2~3ヶ月目の滞納になると電話だけでなく、催告書や督促状などの書面での通知も届くようになります。

 

債権回収会社(エムユーフロンティア)から督促

滞納が3~4か月目に達すると、銀行から「エムユーフロンティア」という債権回収会社(サービサー)に窓口が移管し、エムユーフロンティアから督促の連絡や通知が来るようになります。

これは三菱UFJ銀行がエムユーフロンティアに債権の回収業務を委託するためです。
急に銀行以外から督促が来るため驚いてしまう方もいらっしゃいますが、この時点では回収業務が委託されただけですので、窓口が変わったと考えれば分かりやすいでしょう。

ちなみに、エムユーフロンティアは三菱UFJフィナンシャル・グループのグループ会社であり、銀行からグループ内の別会社へ債権回収業務を委託しているかたちになります。

 

 

一般の方にとって三菱UFJ銀行で住宅ローンを滞納した場合に分かりづらいのが、このエムユーフロンティアへ回収業務を委託される点です。

急に債権回収会社が窓口になることで、後述する「代位弁済」されてしまったと勘違いする方も多いですが、「エムユーフロンティアに窓口が変わった=代位弁済された」というわけではありません

エムユーフロンティアはあくまでも回収業務の委託を受けているだけで、債権自体を持っているわけではないのです。

エムユーフロンティアから督促が来ても、その段階であればすぐに返済をして滞納を解消できれば代位弁済や競売にかけられることはありません

【債権回収会社(サービサー)とは?】

債権回収会社とは、その名の通り滞った債権を回収する専門会社で、サービサーとも呼ばれます。
債権回収会社は、金融機関などから不良債権の回収の委託を受けたり、債権を自ら買い取って(債権譲渡)それらを回収します。

債権回収会社というと、昔の闇金のような恐ろしいイメージを思い浮かべる方もいらっしゃいますが、決してそんなことはありません。

債権回収会社は、俗にサービサー法と呼ばれる法律の規制を受け、法務省の許認可を受けなければ営業することができません。この許認可を受けるためには非常に厳しい基準があり、またサービサー法でその業務や督促の方法も規制されていますので、決して手荒な取り立てをしてくるようなことはありませんので、その点はご安心ください。

なお、三菱UFJ銀行はエムユーフロンティアへ債権の回収業務を「委託」するだけであり、エムユーフロンティアへ債権自体を譲渡することは基本的ありません。

 

期限の利益喪失~住宅ローンの一括請求

 

住宅ローンの滞納が6ヶ月に渡ってしまうと、エムユーフロンティアから「期限の利益喪失」が届きます。
期限の利益喪失とは、簡単に言うと「住宅ローンを払わなかったので契約を解除します。残っているローンをすべて一括で返してください」ということです。

残っているローンとは、「滞納している分」という意味ではなく「滞納していない分も含めて一括」ということです。例えば住宅ローンが1000万円残っていたら、その1000万円を一括で払わなければならないのです。

毎月の住宅ローンの返済が遅れてしまうくらいなのに、そんな大金を支払えることはまずないでしょう。

期限の利益喪失=住宅ローンの一括請求

また、基本的には期限の利益喪失した時点でもう後戻りができません
これまで滞納してしまった分だけ一括で払うので、住宅ローンを元に戻してくださいとお願いしても、ほとんどの場合は受け入れられないのです。

従って、期限の利益を喪失してしまった時点でもう後戻りができず、競売になる前に任意売却を考えなくてはならなくなります。

どうしても自宅を売却したくないということであれば、期限の利益喪失前に滞納を解消しなければならないのです。

期限の利益喪失について詳しくはこちら>>

 

代位弁済~保証会社へ債権が移転

期限の利益を喪失すると住宅ローンの残債を一括請求され、返済期日までに返済できないと代位弁済が行われます。

代位弁済とは、保証会社が滞納者に代わって、立て替えて銀行に一括返済することです。
代位弁済がされると、債権(請求する権利)が銀行から保証会社に代わり、保証会社から請求が来るようになります。

代位弁済=保証回会社による立替払い

代位弁済について詳しくはこちら>>

三菱UFJ銀行で住宅ローンを組んでいる場合、ほとんどは「三菱UFJ住宅ローン保証」という会社が保証会社として入っているはずです。なお、住宅ローンの契約当時は「ダイヤモンド信用保証」という保証会社が入っていた方もいらっしゃいますが、ダイヤモンド信用保証も現在は三菱UFJ住宅ローン保証に統一されています。

ここでややこしいのは、三菱UFJ住宅ローン保証もエムユーフロンティアに債権の回収を委託することです。

債権自体は、代位弁済により三菱UFJ銀行から三菱UFJ住宅ローン保証に移っているのですが、代位弁済前も代位弁済後も結局はエムユーフロンティアから督促が来るのです。(ただし、これまたややこしいことに途中でエムユーフロンティア内の管轄の部署が変わります。)

従って、滞納しているときもしっかりと連絡を取ったり催告書を読んでいないと、いつ代位弁済されたのかが分からないので注意が必要です。

【代位弁済前】

 

【代位弁済後】

 

 

競売~自宅の強制売却

代位弁済された後は、粛々と自宅の競売手続きが進んでしまいます。
競売とは、債権者が裁判所を通じて自宅を強制売却することで、その代金で滞った債権を回収するための手続きです。

自宅が競売にかけられてしまうと、以下のようなデメリットがあります。

・普通に自宅を売るよりも安く売られてしまうことが多い
・競売の執行官が自宅を訪問してくる
・競売の情報がインターネットに掲載されてしまう
・それを見た不動産会社などが家を見に来くる
引っ越し代が全くもらえずに強制退去させられる

競売について詳しくはこちら>>

 

三菱UFJ銀行の住宅ローンを滞納してしまったときの対応

では、三菱UFJ銀行の住宅ローンを払えなくなってしまった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

 

できる限り滞納する前に銀行に相談

まず最優先は三菱UFJ銀行の担当支店に相談することです。
できる限り滞納してしまう前の段階で相談した方が良いでしょう。

例えば、一時的に収入が落ち込んでしまって返済が厳しくなってしまった場合、滞納前に相談すればリスケジュールに応じてくれる場合もあります

リスケジュールとは、返済が苦しくなってしまった場合に

・一時的に支払いを金利のみとして元金の返済を猶予してもらう
返済期間を延ばして月々の支払いを軽くしてもらう

など、返済条件を変更してもらうことです。

ただし、リスケジュールの注意点としては、

・原則として、滞納前でないと応じてもらえない
・返済期間が延びて利息分だけ返済総額は大きくなるため一時しのぎにしかならない

といった点に留意しておく必要があります。

 

銀行や債権回収会社からの連絡は無視しない

もしどうしても返済ができず滞納してしまった場合にも、しっかりと誠意を伝えることが大切です。
特に、督促の連絡を無視することは避けましょう。

前述の通り、滞納が続くと途中から三菱UFJ銀行からエムユーフロンティアという債権回収会社に窓口が変わります。

債権回収会社というと怖いイメージをお持ちで連絡を無視してしまう方もいらっしゃいますが、決して怒鳴られたり脅されるようなことはありませんので、しっかり連絡を取って現在の状況と返済計画を伝えるようにしましょう。

逆に、滞納しているにも関わらず全く連絡が取れないと、返済に対して非協力的とみなされてしまい、最悪の場合は、後述する任意売却を認めてもらえず競売以外に選択肢がなくなってしまうこともあります。

※エムユーフロンティアの営業時間は平日の9:00~17:00です。それ以外の時間は連絡が繋がりませんが、「平日は仕事で土日や夜しか連絡できない」というのは通用しません。着信があったらなんとか休憩時間などを利用して営業時間内に折り返すようにしましょう。

 

期限の利益喪失してしまったら一刻も早く任意売却

どうしても返済ができず滞納が続いてしまい、ついに期限の利益を喪失してしまうと、そこから引き返すことは困難で、その後は代位弁済、競売と手続きが粛々と進んでしまいます。

前述の通り競売は最悪の結末ですので、もし期限の利益を喪失してしまったら一刻も早く任意売却の手続きを取ることが大切になります。

任意売却とは、「債権者の同意を得たうえで、一般の市場で不動産を売却する方法」です。

競売と比較すると、任意売却には以下のようなメリットがあります。

・競売よりも高く売却できる(相場通りの価格で売れる)
・他人に事情を知られない(インターネットで競売情報が晒されない)
引っ越し代がもらえる可能性がある

 

任意売却をする場合は、まずその旨をエムユーフロンティアへ伝えたうえで、任意売却の専門の不動産会社に相談します。

そして正式に依頼をしたら、依頼した不動産会社からエムユーフロンティアに連絡をしてもらい、あとはエムユーフロンティアと依頼した不動産会社で手続きを進めてもらえます。

任意売却について詳しくはこちら>>

任意売却業者の選び方はこちら>>

 

三菱UFJ銀行(エムユーフロンティア)の任意売却

最後に三菱UFJ銀行(エムユーフロンティア)の任意売却の特徴について解説します。

 

基本的には任意売却を認めてくれる

金融機関によっては任意売却を一切認めないというところもありますが、三菱UFJ銀行(窓口はエムユーフロンティア)は、基本的には任意売却に応じてくれます

期限の利益喪失あるいは代位弁済した時点で、窓口のエムユーフロンティアへ競売でなく任意売却したい旨を伝えれば手続きの流れを教えてくれます。

 

三菱UFJ銀行(エムユーフロンティア)が任意売却に応じないケース

例外的に、任意売却を認めてくれないケースもあります。
これは社内判断ですので、明確な基準は公開されていませんが、次のような場合は任意売却を認めてもらえず競売になってしまうことが多いようです。

・それまで滞納しているのに全く連絡を取らなかった
・返済に非協力的な態度を取ったり、暴力的な発言をした
・すでに競売が申し立てられていて、開札期日まで1ヶ月を切っている

 

期限の利益喪失から約3ヶ月で競売にかけられる

三菱UFJ銀行(エムユーフロンティア)の特徴としては、任意売却を行っている途中であっても、期限の利益喪失から3~4か月程度で競売の申立をされてしまうという点です。

ただし、競売を申し立てられても任意売却を同時並行で行うことが認められ、競売の開札期日の数日前までに買い手が決まって引渡ができれば競売を取り下げることができます。


競売にかけられてからでも任意売却に応じてくれる

三菱UFJ銀行(エムユーフロンティア)は、すでに競売の申立をされてしまった後でも任意売却を認めてくれる可能性が高いです。

ただし、その場合は競売が取り下げられることはなく、任意売却と同時並行となり、競売の開札期日の数日前までに任意売却を完了させる必要があります。

 

引っ越し代等の控除も認めてくれる場合がある

「任意売却したいけど転居費用がどうしても捻出できず任意売却できない」という状況の方の場合、任意売却業者からエムユーフロンティアへ相談して引越し代を捻出できる可能性があります

これは状況によりますので、必ず認められる保証はありませんが、比較的認めてもらえる可能性が高いと言えます。

ただし、これはあくまで任意売却の買い手と売却金額が決まってからの話ですので、事前に確実に保証されるものではありません。

 

まとめ

本稿では、三菱UFJ銀行で住宅ローンを滞納してしまった場合の対応方法と任意売却について解説しました。

改めて大切なことは以下の通りです。

・できる限り滞納前に相談すること

・滞納してしまったら連絡を無視せず誠実に対応すること

・これ以上の返済が困難であったり期限の利益を喪失してしまったら、一刻も早く任意売却の手続きをすること

銀行や債権回収会社からの連絡を恐れて無視してしまったり、自暴自棄になって何も対策を取らないと、どんどん事態が悪化してしまいます。

その都度、状況に応じて早めに適切な対応を心掛けるようにしましょう。

 

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